パコール選びのポイント

前回はアフガニスタンで一般的な衣類であるカミースについて紹介した。
今度は、現地でポピュラーな帽子である「パコール」を取り上げたい。

-パコールの着用例-






このパンケーキのような帽子がパコールで、被り方は頭に水平に被るものから後頭部に乗せるように斜めに被る方法まで様々。前髪も出してもいいし、出さなくてもいい。

サイズも小さいものから60cmぐらいまで様々なものがあるので、頭の大きな人も安心である。

色は黒から白、茶色やカーキと様々な色がある。ただし、赤いや紫の使用例は見たことがない。カミースとも合わせやすい。価格は出来の悪いレプリカが3500円台、実物が6000円くらいだ。

-アイコンとしてのパコール-
1979年からのソ連軍によるアフガン侵攻。それに対するムジャヒディンの抵抗運動。この紛争でパコール帽がムジャヒディンで使用されたことから、パコールは「ムジャヒディン」の記号となった。シャー・マスードの写真の多くもパコールを被ったものになっている。この紛争にはアフガン国外からの義勇兵も多く参戦していたことから、彼らが帰国後に自分のコミュニティで広めた可能性も大いに考えられる。シリア内戦のIS勢力でもパコールが使用されている。世界規模のアイコンというわけだ。

-巻きますか？巻きませんか？-
着用例で紹介したパコールは、ひだの部分を細く硬く巻き上げている。これを被るというよりは頭に乗せる。これがアフガニスタンでの最大の特徴と言える。
対照的にパコール帽を帽子として被ろうとすると巻き上げを甘くすることになるので、端的に言えばサバゲフィールドの定例会で見かける煙突というかエリンギみたいなシルエットに。下画像を参照されたい。
アフガンやパキスタン以外のムジャヒディンの再現であれば、かなり正確ではあるが。

-シリアでのパコール着用例-


アフガンの人は細く巻き上げるために、膝の上にパコールを置いて巻き上げる。紀行文でもこの巻き上げの出来がお洒落かどうかを左右する記述がある。

私は膝ではうまく巻けないので、ひだを解いた状態で頭に被って巻き上げる方法をとっている。各自うまく巻ける方法を試してもらいたい。

巻き上げ部を固くしたり、頭部へのフィット感をあげるには巻き上げ部分に布等を入れて巻き上げる方法がある。これもサイズ感の調整に役立つのでお試しあれ。


-レプリカか実物か-
国内最王手のショップさんのパコールはアマゾンでも買えて、3500円台なので入手は簡単。
がしかし、生地がかなり柔らかいので、細く巻き上げることが困難でもある。個人的な体験では、ひだの部分を半分まで切り詰めることで煙突感を軽減したが限界があった。生地の違いが抵抗にも影響するのか実物よりもサバゲ中に落下しやすかった。


ツイッターでこのレプを本物並みに巻き上げている方を拝見したので、巻くのも不可能ではないんだろうが方法が分からない。仮説としてはゴムバンドを詰めて、それを芯にしているのかもしれない。

自分でレプリカに手をいれて本物に近づけるのも面白いとは思うが、実物を入手するのが確実な方法。カミースと同じお店で大抵は実物を取り扱っている。

カミース選びのポイント

アフガニスタンで一般的な服装であるカミースについて書きます。
便宜上、ズボンに当たるサルワースもカミースに含めます。



上記画像のような、体の前後に垂れがあるシルエットがゆったりした服がカミースです。
アフガニスタンでは市民から政府側民兵、反政府勢力まで幅広く着用されています。
大統領がチャパンと併せて式典でも着用している例があるので、公的な場でも着用できる服と言えます。

白・黒・灰・茶・緑・紫など各色あります。
紫は2016年頃からよく見かけるようになったように思うので、別の色の方が無難です。

そんなカミースのぱっと思いつく入手先は...
・民兵装備？国内最大手のショップ：某縫製。
・吉祥寺にあるアフガニスタン出身者が営む小売店。
・兵庫県にあるアフガニスタングッズを扱う小売店。
・Vショーやショットショーといったミリタリイベントで購入。
・海外から購入

等々で、正直いってインターネッツ上で簡単に購入することが可能です。
相場は出来の悪いレプリカなら7000円、よくできたレプリカと本物が10000～13000円です。海外から購入以外は試しましたが、実際に手にとってから買う事をお勧めします。理由は以下のとおりです。

【サイズ】
私たちの私服もそうですが、服はサイズがあったものを着ます。現地の写真を見てもブカブカのカミース（上着）を着ている人は皆無です。なお、ズボンはウェストが１mあるのが普通なのでサイズは関係なしです。通販ではフィット感が確かめられません。国内最大手のお店のレプリカは新品7000円、ヤフオクの中古だともっと安いんですが、サイズがすごく大きいので注意が必要です。裁断がオリジナリティ溢れてますし。袖幅と袖丈を詰めれば見られないことはないレベルになりますが、手間賃で価格面の優位がなくなります。

【生地の厚み】
ピンキリです。実物の薄いものだと肌が軽く透けます。大変涼しいのですが、サバゲではガシガシ使えません。これも実際に手にとってみないと分かりません。逆に最大手のレプリカは厚くて頑丈なので熱がかなり籠り、関東の夏では着用が厳しいです。特にカミースはこの上にベストやストールを着用するのがらしい着こなしになるので尚更です。

【装飾の有無】
下の画像のように襟ぐりや胸元に刺繍等の派手な装飾があるカミースがあったりしますが、着用例が稀なので避けた方がいいでしょう。



【チャックの有無】
アフガニスタンでは立ち小便が文化的禁忌なので、カミースの股にはチャックやファスナーはありませんのであしからず。

【ポケットの有無】
実物の多くには胸ポケットの他に左右の脇腹にポッケがあります。

【タクティカルなカミースに注意】
迷彩カミースについては後日記事を書くつもりですが、シリアで使用されているロシア軍のゴルカを参考にしたようなタクティカルなカミースのアフガニスタンでの使用例は見たことがないので、もし入手してもアフガニスタン装備では使用しない方がいいです。もしかするとISのホラサーン州のプロパガンダ映像で登場するかもですが...


<タクティカルなカミースのシリアでの使用例>

どんなカミースを買おうか検討中の方には、悪いことは言わないのでリアル店舗のあるショップかミリタリーイベントで実物を確認することを強くお薦めします。特に最大手のお店はVショーやショットショー、各種イベントに精力的に出店している上に「パキスタンから仕入れたカミース」も取り扱っています。パキスタン製の刺繍がないものなら間違いないです。

タグ：アフガニスタン ゲリラ タリバン アフガン カミース

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こちらのブログは一人のアフガニスタン好事家によりお送りさせていただいています。

9.11後のアフガニスタンを巡る報道で、白い服に黒いターバンのコントラストが強烈なタリバン報道官や戦車に箱乗りする髭面のおじさん達からかの国に興味を持ちました。ここ数年は趣味のサバイバルゲームではアフガニスタンな恰好をし、併せて和書やインターネッツ上で情報を収集してきました。



サバイバルゲーム界隈や軍装界隈は、ニュービーの方にすこし不親切なところがあります。実際に着て使ってみた感想や、知識や見立てを忘れない内に出力しておく場所がここになります。私の知っている範囲の情報しか出力できませんので、私見やバイアスがでることが予想されます。そんな中でもご覧になった片のお役にたつものがあれば幸いです。


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